#3 演出を盛り上げる目の錯覚
ワールドバザールの道幅と目の錯覚
東京ディズニーランドの玄関口ワールドバザール。古き良き時代のアメリカの街並とガラス張りの屋根の向こうにシンデレラ城がそびえる。この風景は、現実の世界から夢の世界へ入っていく心の変化を盛り立ててくれる。ご存知の方も多いかと思いますが、このワールドバザールからシンデレラ城へ抜ける道。実はこの道幅は一定じゃないんです。入口に近い方ほど幅が広く、シンデレラ城に近いほど幅が狭くなっています。これは人間の目の錯覚を利用したもので、道幅をだんだん狭くさせていくことにより、ワールドバザールの道がより長く見えるように、また、シンデレラ城がより遠くに見えるように工夫されているんです。こうすることで、ディズニーランドの夢と魔法の世界への導入部分を盛り上げています。このような目の錯覚は、東京ディズニーランドやディズニーシーの至る所で利用されています。
シンデレラ城は実際より高く見える?
シンデレラ城も実は目の錯覚を利用して実際よりも高く見えるように工夫されています。今度ディズニーランドへ行ったら、シンデレラ城の石垣を見てみてくだださい。下のほうの石と比べると、上に行くほど1個の石の大きさがどんどん小さくなっていっています。これは強化遠近法と呼ばれる映画のセットにも使われる手法で、目の錯覚を起こさせ実際の高さよりも高く見せる工夫がされています。実は、ワールドバザールでも同じ手法が使われていて、建物は上の階へ行くほど幅が狭くなるように設計されています。
ホーンテッドマンションのトリック
ホーンテッドマンションに乗っていると途中で水晶の中におばあちゃんの顔が入っているところがありますよね。目も動くし口も動く。本当に人が入っているような動き。幼心にも「スゲー!」と感心した覚えがあります。これも人間の目の錯覚を利用していて、水晶の中におばあちゃんの彫像を入れて、その彫像に向けて顔の映像を映写して、あのリアルな動きを実現しています。
それと、そのちょっとあとに出てくる舞踏会のシーン。あれはハーフミラーを使ったトリック。幽霊をハーフミラーに反射させて、実体の調度品と虚像の幽霊を合成して見せているんだそうです。意外と単純なんですね。。でも、こういう一見謎に満ちた不思議な体験が、人をもう一回ホーンテッドマンションに乗りたくなってしまう、魅力なんじゃないでしょうか。
ホテルミラコスタのだまし絵
東京ディズニーシーに隣接するホテル「東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ」。じつはここでも、人間の目の錯覚を利用しただまし絵「トロンプルイユ」という手法が用いられています。今度ディズニーシーに遊びに行ったら、メディテレーニアンハーバーからホテルミラコスタをよく眺めてみてください。窓があったり、彫刻が刻まれた柱があったり、石垣があったり、窓から人がのぞいていたり…。じつはよく見てみると、まるで本当に窓や柱があるように見える「だまし絵」なんです(本物の窓ももちろんありますけど)。これは、ホテルミラコスタのモデルになったイタリアのポルトフィーノの町の外壁でも実際に用いられている手法です。この壮大なだまし絵の制作にはイタリアの芸術家村から140人にものぼる芸術家たちが1年間をかけて、石膏でかたどったものを一個一個レンガの形に描いていって完成したものです。これは、「本物じゃないけど、本物以上に味わいがある」効果を狙ったものだということです。でも、ぱっと見ただけでは本当に分からないですよね。こういう細かい粋な演出にディズニーの面白さを感じます。
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